ときめきに死す

 読切についての詳細は、もう少しお待ちください。

 

 

ときめきに死す [DVD]

 

 キネカ大森「キネカ大森35周年記念生誕祭」というのを先週までやっていて、キネカ大森誕生と同じ1984年製作の映画8本を特集上映してたので、その中の一本『ときめきに死す』を観に行ってきました。

 

 公開で観て以来なので、正に35年振り。‥‥あれ、そのあとテレビ放映した時も観たっけな?

 確か『家族ゲーム』での日本アカデミー賞の受賞スピーチだったと思いますが森田芳光監督が、その『家族ゲーム』については触れもせず(触れたかな?間違ってたらごめんなさい。とにかくそんなことよりてな勢いで)、

「今度『ときめきに死す』という映画が公開されるのでぜひ観て下さい」

と自信満々な様子で言っているのをテレビで見まして、へーと思って新宿に観に行った記憶があります。

 

 観た当時は「新しい‥‥」と思いつつ、正直「なんだこれ‥‥」とも思った私でした。
 体感温度が低く、スタイリッシュ過ぎてこちらの手に余るというか、置いてきぼりになった気がしましたが、何年か経ってオウムが世の中を騒がせ始めた頃にこの映画を思い出して「あっ、森田芳光すごかった」と突然フラッシュバックのように衝撃を感じたりしました。
 
 キネマ旬報で連載しているライムスター宇多丸さんと三沢和子さんの新文芸坐でのトークショーの書き起こし「2018年の森田芳光」の『ときめきに死す』の回を読んで、もう一回見直したいなと思っていたので(その新文芸坐での森田芳光特集は行けなかったので)、今回いそいそと大森に向かったのでした。
 
 で、35年振りに観て、見終わった印象は、なんだか初見時と同じような「なんだったんだ、これ‥‥」でした。進歩ないのか俺。馬鹿なのか。
 
 と言ってつまらなかったわけではなく、昔も今もひたすら見入ってしまっていたわけですが。
 
 それにしても宇多丸さんの理解力、咀嚼力はすごいすね。この映画についてキネ旬を読んでて或いはラジオを聞いてて、ああそうかと思うことだらけ。思い出したけど、俺なんか「こ、こんな死に方(生き方)したくねええぇ‥‥」って思ったぐらいだったもんな。
 
 にしてもやっぱり不思議な映画です。ときめきと言うには余りにうすら寒い、夢を見ていたような気になる映画でした。あの森は正に夢のようだし。