トリート・ウィリアムズ

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 ぐあーーー、トリート・ウィリアムズが‥‥‥

 それもバイク事故とは‥‥

 

 私にとっては完全にシドニー・ルメット監督の最高作のひとつ『プリンス・オブ・シティ』(1981)のダニー・チェロ刑事でした。

 

 同じルメットの警察汚職ものの『セルピコ』(1973)は組織で孤立しても金を受け取らず信念を貫く孤独なヒーローでしたが、ダニーは普通に汚職していて普通に贅沢な暮らしを楽しみ普通に嘘もつく普通の汚れたやり手警官でした。しかし心の奥底にわずかに残っていた良心の呵責から罪を告白し、汚職捜査に協力するうちに、今度はその巨大な渦の中で何もコントロールできなくなっていく一人の人間なのでした。

 そのヒーローでもなんでもないダニー・チェロのナイーブさをトリート・ウィリアムズが見事に演じていて、よかった。特に後半は見ていて辛いが目が離せない展開で、引き込まれ続ける2時間半です。

 

 街の王子様と皮肉混じりに呼ばれるそのニューヨーク市警麻薬局の特別捜査班のエリート刑事だったトリート・ウィリアムズがゾンビ・コップになっていた時はさすがにズッコケましたが、でも『ゾンビ・コップ』(1988)面白かった。

 

 プリンス・オブ・シティのラストカットのあのチェロ刑事の表情の苦さは忘れません。