ここ一、二ヶ月に観た映画。
EO(イー オー)という名のロバが主人公の映画。擬人化されてるわけではなく、なので当然ロバのセリフやモノローグがあるわけでもなく、ひたすらロバが自然や人間社会の中を彷徨う姿をカメラが追います。
説明はなく、寓話でもない。
見えてくる世界は非常に息苦しい行き詰まった社会で、そこにいる人間も皆行き詰まっていて、出口が見えない。その中を彷徨うEOから目が離せませんでした。ずっとハラハラした。それはつまり「ロバを通してみる人間の物語」というよりは(確かに社会を照射していて色んな風に読み取れるが、それでもなお)、正しくEOが主人公の「EOの物語」だということではないか。擬人化されてないのに!
ロバってこんなに可愛かったのかと思いつつ、それだけにやるせない映画でした。すごい映画を撮るなあ、スコリモフスキ監督。
ニール・ジョーダン監督の長年のファンですが、そんなこと言いながらもしかしたら公開時に劇場で観たのはこれが最初かも知れないと気がつきました。恥ずかしい‥‥
ジョーダン監督でリーアム・ニーソン主演でイアン・ハート共演で、もう『マイケル・コリンズ』を思い出さずにはいられないわけですが、今回はスティーブン・レイがいないのがちと淋しい。
私はこの手の推理ものは、観てるうちに誰が誰の誰でどっち側でどうだったかわからなくなるので、見終わってなんとなくわかったようなわからないような気分になるのが常で、今回もやっぱりそうでしたが、悪くはなかったです。
久々に見たジェシカ・ラングが貫禄があってよかった。最初にヒロインを見た時「え? ジェシカ・ラング? いや、変わらなさ過ぎだろ!? 化物かっ?!」と思ったら、それはダイアン・クルーガーで、そのあと彼女の母親としてジェシカ・ラングが登場して、「おお、そうか、そうだよね、そりゃ‥‥」とちょっと安心したのでした。似てたな、しかし。
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