竹山ひとり旅/縮図

 新藤兼人監督作の2本、『竹山ひとり旅』(1977年/近代映画協会、ジァン・ジァン)と『縮図』(1953年/近代映画協会)を観ました。どちらも極貧の中で生きる人々の映画。

 『竹山ひとり旅』、ずるい奴、弱い奴、したたかな奴がこれでもかと出てきて(主に男)非常に面白かったです。観世栄夫や川谷拓三、戸浦六宏殿山泰司小松方正などの濃い面々の面構えを見ているだけで全く飽きません。
 対して女は悲しくも逞しい。定蔵(=竹山:林隆三)をひたすら見守る母(乙羽信子)の映画でもありました。
 さも目が見えませんというような芝居をしない林隆三もさわやかさがあってよかった。
 とにかくみんな超ド貧乏で、辛いことばっっっっかしで、それにただただ耐えるしかないんだけど、なぜだか力強い、てのが正に津軽三味線! という感じでした。しかしすごい人生だよ、もう。


 『縮図』は金沢出身の文豪徳田秋声の小説の映画化。原作は昭和16年新聞連載中に当局から芸者の話なぞケシカラン!と睨まれ、秋声は内容変更を良しとせず連載を中断、そのまま絶筆となってしまったそうで。
 こちらもずるい男が盛り沢山でしたが、ちょっと長かったな〜。主人公銀子の貧乏な父親役は宇野重吉が演っていたけど、殿山泰司(女衒役)の方が合っていたような気がしなくもない。
   
   

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