怒りの刑事

f:id:sep15evans:20190818182017j:plain

   東京は御茶ノ水と水道橋の間辺りにあるアテネ・フランセに『怒りの刑事』(原題:The Offence / 監督:シドニー・ルメット  1972年 英)を観に行ってきました。

http://www.athenee.net/culturalcenter/program/na/nm2019.html

 

 『丘』(1965)、『盗聴作戦』(1971) に続きルメット監督とショーン・コネリーが組んだ3作目。ついでに言うとこの後も『オリエント急行殺人事件』(1974)、『ファミリービジネス』(1989) で一緒に仕事しています。

 

 日本では劇場公開されず、テレビで放映されただけの作品で、私は30年以上前に午後のロードショーか何かでポッと放送されたのを「おっ」と思って見たような記憶がありますが、内容ほとんど忘れてました。なんか「う、う~ん‥‥?」てな印象だった記憶のみ。

 ソフト化もされておらず、字幕付きでスクリーンで見れるのは貴重な機会でした。

 

 ショーン・コネリーの007シリーズ卒業後の第1作ということで、ジェームズ・ボンドのイメージを払拭したかったために、人間の内面を見つめ過ぎて鬱々となる舞台劇を題材に選んでしまったということらしいです。ほんで多分、戯曲の映画化なら奴だなとルメットに声をかけて撮らせたんじゃないでしょうか。映画の半分は取調室の会話劇(暴力含む)です。

 

 中盤、刑事のコネリーがお家に帰って、寝ていた奥さんと延々と酷すぎる会話をするイヤ~~なシーンが続きます。こんな夫婦の会話は嫌だ、と言うしかないあんまりと言えばあんまりな会話がいつまでも続くので、一体何を見せられているのだこれは、という気になってきますが、それでも終わりません。

 力になるから何があったか言って頂戴と言う奥さんに、可愛くないとか美しくないとか前からそうだっけとか言うコネリー。そんな言い方‥‥(涙)。更に、自分がこれまで見てきた悲惨な事件現場のグロテスクな様子を延々と、聞いてる奥さんが吐くまで言い続けるコネリー。吐いたら吐いたで、お前が言えって言うから言ったのにと突き放すコネリー。どうかしています(笑)。

 

 ショーン・コネリーはこの後『未来惑星ザルドス』(1974)に突入して、次に『オリエント急行殺人事件』で再びルメットと再会。

 シドニー・ルメットはこの後『セルピコ』(1973)を撮り、日本未公開の『Lovin' Molly』(1974)を挟んで『オリエント急行殺人事件』、『狼たちの午後』(1975)、『ネットワーク』(1976)とヒット作を連発していきます。

 そんな二人のニューロティックな密室取り調べ室暴力会話劇でした。

 

 しかし容疑者の人、何の証拠もなくちょっと怪しいってだけなのに、勘だけのコネリーのためにあんなことに‥‥‥ 何もかもひど過ぎる(笑)。

 

 アテネ・フランセって初めて行きましたが、語学学校なんですね。

 


The Offence (1972) Trailer