少し前ですが『アネット』観てきました。
予想はしてましたが、ちょっと見たことないすごいミュージカル映画でした。と言うほどそもそもミュージカルあんまし見てないですけど。でもすごかった。
そう来るかー、が沢山あって、やっぱりカラックスだなあと思いました。
カラックスのコメントで、自分が父親になったことで撮れた映画だ、みたいな発言を目にしていたんですが、しかしやっぱり父親になろうがなるまいがカラックス変わらないなあ~とも思ったり。ペシミスティックなところが。
アダム・ドライバー演ずるヘンリーが舞台でウケないところは見ていて心が痛すぎました。怖すぎた。前はこれでウケてたのに!って、そ、それを言わないでよ~~(涙) と苦しくなりました。
以下、結末について触れます。
ラストの刑務所のシーンで、人間の姿になったアネットが父親のヘンリーに「あなたにはもう私を愛する権利はない、もうパパには誰も愛する人がいないのよ」と歌って完全な決別を告げます。ヘンリー(と我々観客)が絶望するような完全な拒絶なんですが、でもその拒絶を、懇願するヘンリーの歌とハーモニーになって歌っているところに、一縷の繋がりが残っているようにも感じました。完全な拒絶なら和音にならなかったり、そもそも歌わない、という選択肢もあったはずですが、徹底的な拒絶・決別だけどでもそこには調性がある‥‥という二律背反なところがなんかこうミュージカルだからこその演出という感じがしました。
とはいえ「一生許さない」とかではなく「もうあなたには愛する人はいない」というのは恐ろしい最後通告でしたが。