観たのは『花実のない森』(1965年/大映/監督:富本壮吉)と『爛(ただれ)』(1962年/大映/監督:増村保造)の2本。
松本清張原作『花実のない森』は、若尾文子の美しさは強烈だし、回りを固める名優達の濃いキャラの演技も面白いんですが(特に変態お兄さん役の田村高廣)、肝心の主人公(自動車のセールスマン)がミステリーの進行役以上の役割を与えられておらず、取って付けたような人物造形で登場人物としても演者としても正直全く面白くなく冴えず、なんなんだお前は感が拭えないのが残念な、勿体ない一本でした。
しかしミステリーとしては面白く謎を引っ張ってました。
何より若尾文子の美しさは炸裂していたのでそこを見ればいいのです。
徳田秋声原作『爛』は20年近く前にどこかの増村特集で観ましたが、ほとんど忘れてたのでも一回見ました。
起承転結みたいなことで言うとなんつーかひたすら物事が進んでいくだけのストーリーなんですが、出てくるキャラがみんなクセが強いので観てて飽きません。
特に序盤の田宮二郎の奥さんが田宮二郎を責め続けるホラーじみたしつこさ、若尾文子と水谷良重の取っ組み合いバトルのしつこさ、容赦の無さはあゝ増村監督だなぁとニヤニヤしてしまいます。
ただ終わり方は増村監督っぽくない気がしました。新藤兼人脚本に遠慮したのかなぁ。
しかしこうして若尾文子映画がどっさり上映されるのは嬉しい。