セックス・チェック 第二の性

セックス・チェック 第二の性 [DVD]
 『甘い水』の中で、登場人物の沼尾クンがレンタルビデオ屋にあるかな〜と言っていた、1968年の大映映画。主演は緒形拳と安田(大楠)道代。
 一度観たら忘れられません。
 私は三十数年前にテレビ東京で土曜の深夜にやってた日本映画名作劇場で観たのが最初です。すんごいインパクトでした。なんだこりゃ‥‥
 その時はまだ増村保造という監督の名前は意識しておらず、ただボーゼンと画面を見てたなあ。

 後から思えばそれより前の高校生の頃、増村保造の名前に出会うだけは出会っていました。高2の時に公開された『エデンの園』という映画で。見てませんが。
 『エデンの園』は監督は日本人だけどイタリアで撮影されてキャストも皆イタリア人の映画でして、裸がいっぱい出てくるようだ‥アニセー・アルビナの『フレンズ』みたいな映画だろうか‥見たい!と、田舎のアホ高校生の私は思っていたんですが、当時読んでたロードショーやスクリーンといった映画雑誌の新作レヴューでことごとく「これがあの増村の映画なのかとがっかりする力のなさ」てな感じで酷評されていて、「あの増村って言われても知らんけどいや‥‥」と思いつつ「本当はすごい映画を撮るはずの人の失敗作なのか」と気を削がれて結局観なかったということがあったのでした。
 後から考えると『大地の子守唄』『曽根崎心中』といった傑作を連打した後だっただけに、評論家のガッカリ感もハンパなかったんだろうと思われます。

 そんなこんなから二十年ほど経って、1990年代末に世の中で増村保造再評価のムーブメントがありまして、私もその頃にはそれまでの点が線で結ばれて「そうか、あのセックス・チェックが、あの『あの増村』か。『この子の七つのお祝いに』も『遊び』も、ああそうか」と色々合点していて、ユーロスペースの特集上映などに通い、『セックス・チェック 第二の性』も初めてスクリーンで見直して、突っこみ所に爆笑しつつもそのとことんな強さ・激しさに打たれ、感動し、増村フリークとなっていったのでした。

 という訳で、『妻は告白する』『赤い天使』『清作の妻』『暖流』等々傑作は数あれど、私にとっての増村保造は『セックス・チェック 第二の性』が原点だったりするのでございます。ぶっ飛んだ映画です。ひたすら強く濃く激しく面白い。

 結局『エデンの園』は未見のままなので、観てみたいなー。評論家のせいで見損なっちゃったよ。